ナダルも8割クロス?まず習得すべき基本戦術!シングルス編
試合に出るようになってから、勝てるようになるまでに、選手の前にはたくさんの壁が立ちはだかります。
そのひとつに「ポイントを取るまでの流れが見出せない」という問題があります。今回は、この悩みを解消するヒントとなるシングルスの基本戦術について書きたいと思います。
基本戦術とは?
基本戦術とは、まず習得すべきもっともリスクの少ない戦術です。
技術には個人差があるのでリスクの少ない戦術は人によって異なります。それでも、多くの人が当てはまる内容をここではまとめます。
これを参考に、自分の基本戦術を確立してみてください。
基本戦術を明確にするメリット
基本戦術を明確化し、何よりもまずそれを習得するメリットは例えば以下があげられます。
- 駆け引きを有利に進められる
- 試合に必要な自信が備わる
- 得意パターンを見出せる
- 勝利経験までの最短距離を走れる
試合で相手と駆け引きするには自分の基本戦術が不可欠です。試合ではこの基本戦術を8割近く選択します。
相手がそのパターンを把握する頃に逆をつくショットを混ぜて的を絞らせないよう駆け引きを進めていきます。この逆をつくショットを応用と考えるとわかりやすいと思います。
ここではサービスゲームとリターンゲームに分けて、もっとも基本的でリスクの少ない戦術を例に挙げています。
また、得意パターンを見出したいという方は、まずはこの基本からはじめ、応用に進む過程で見出すことをオススメします。
まず何よりも先に、明確化した基本戦術を安定してプレーできるよう身体に刷り込み、試合本番でそれだけは自信を持って打ち切れるレベルに仕上げる。それが勝利への近道です。
試合中は心が折れそうになることもあります。そんな時も、自信を持って打ち切れる基本戦術こそが自分の心のよりどころとなり、自分を救ってくれます。
また、選手として上達を目指す場合、いろいろなことをやろうとせず、まずこれを身につけることを徹底します。それが身についてから、その逆に打つ、または、基本戦術をより細かく追求し幅を持たせる、より厳しいコースを追求するといった応用練習に取り組みましょう。
極端に言うと、例えばベースラインプレーヤーの場合、ここに示す基本戦術に含まれない、スマッシュやボレーはほとんど練習しなくていい、打てなくてもいいということです。それが勝利への近道です。
なお、戦術にはコースや球種など考えることはいくつかありますが、今回は特にコースの話に焦点をおいています。
球種についてはじめに少し触れておくと、ストロークであればスピン系のショットを選択するのが基本です。これもリスクの観点で、スピン系のボールの軌道がもっともネットしづらく、かつアウトしづらいからです。
以下は主に配球についての基本戦術です。
サービスゲームの場合
基本戦術
想定する展開例
- ファーストをワイドに攻めて3球目のチャンスボールを迷わずオープンコートへ攻める
- ファーストをワイドに打ってからストロークを迷わず順クロスへ攻め続けてチャンスを迷わずオープンコートへ
- セカンドをバックに狙ってからストロークを迷わず順クロスへ攻め続けてチャンスを迷わずオープンコートへ
リターンゲームの場合
はじめにやるべきこと
- 相手のサーブのコースを分析し読めるようにする
基本戦術
- 攻めづらいワイドサーブのリターンは順クロス狙い
- 攻めづらいセンターサーブはのリターンはストレート狙い
- 攻められるサーブはバック狙い
- ストロークはバック狙い
- 回り込んでもバック狙い
想定する展開例
- リターン後はストロークで執拗に相手のバック側にボールを集めてチャンスも迷わずバック側に攻める
以上が基本戦術です。「え?これだけ?」と思った方も少なくないかもしれません。これだけです。このプレーを試合では8割近く選択します。それが勝利への近道です。
理解すべきは以下の3点です。
- ストレートよりクロスの方がアウトまでの距離が長い分技術的に優しい
- クロスに飛んできたボールをストレートに流すより、ストレートに飛んできたボールをクロスに引っ張る方が技術的に優しい
- ストレートに打ち続けるよりもクロスに打ち続けた方が走る距離が短くなりやすい
だからリスクの少ないそのコースを選びます。これはバタフライラリーをすればわかると思います。ひとりはストレート縛り、ひとりはクロス縛りで試合をしてみてください。クロス縛りの選手の方が有利になります。
ナダル選手も8割クロス方向を選択
正確には、ナダル選手の2014全豪オープン4R、錦織選手との対戦、試合序盤4ゲームについて、リターンも含むストロークで選択したコースは85.8%がセンターも含むクロス方向だったというデータです。錦織選手も80.0%でした。
試合序盤はなおさらリスクを取らずに、ポイントを取ること以上に、自分のこと調子を上げていくことを重視します。
もちろん、プロとアマチュアのレベルは雲泥の差です。それでも基本戦術に大差はありません。是非、ご自身のテニスの参考にしてみてください。
シングルスの基本戦術は、ワイド!順クロ!バック狙い!