強化すべきショットの優先順はテニスの原理から考えるとまずサーブ
人生は有限です。
目標を設定して活動する場合、限られた時間の中でどうすればそのゴールにたどりつけるのかを考えることは目標達成に不可欠です。
例えば、私がコーチを務める大学のテニス部の場合、ゴールはリーグ昇格です。リーグ本番は年に1回。本番までの1年間の活動次第で結果は大きく変わります。
この1年、チームは何から改善していけばいいのか、選手個々人は何から改善していけばいいのか、それを的確に導き出せればゴールまでの最短距離を走ることができます。
チームについては以前、昇格した年に注力したことを例に書きました。今回は、選手個々人の話に絞って書きたいと思います。
今、あなたは、何に注力していますか?フォアハンドストロークですか?バックハンドボレーですか?
また、それはなぜですか?それがどこまでできたら、次は何に注力しますか?
今回は、必ずしも全員にあてはまることではありませんが、ひとつの考え方を紹介します。
広く浅くやっていると勝てない選手で終わる
テニスのショットには、フォアとバックがあります。
打点の高さには、ハイ、ミドル、ローがあります。
球種には、フラット、スピン、スライスがあります。
コースには、純クロス、逆クロス、ストレートがあります。サーブであれば、ワイド、センター、ボディがあります。
これらはそれぞれ技術が異なります。さらに、ショットの種類は次の5つです。
- サーブ
- リターン
- ストローク
- ボレー
- スマッシュ
これらを掛け合わせるとテニスのショットは100種類をゆうに超えます。
もしあなたが、たくさんあるできていないショットを先輩やOB/OGから指摘された順に次から次へと闇雲に着手していたとしたらそれはとても危険な状況です。
本当に強化しないといけないショットが強化されないまま勝てない選手で終わる可能性があります。
そうならないためにも、この記事に書かれていることをヒントにしながら、自分のやるべきことの優先順位づけを正しくおこない、時間には限りがあるので「選択と集中」という手段をとりましょう。
それが目標達成への最短距離を走るポイントです。
シングルスに必要で重要な4つのショットと優先順位
ここからはシングルスに関して、優先すべきショットの導き方について、ひとつの考え方を紹介します。
テニスというスポーツは、ストロークがどれだけ上手く、強くても、サーブとリターンが入らなければ、その選手は絶対に勝つことはできません。
あるいは、相手と比較してサーブとリターンで劣っていたら、その時点で勝つのは簡単ではなくなります。
これはテニスの原理原則のひとつです。
これだけで、サーブとリターンはストロークやボレーよりも勝つために必要で重要なショットと言えることがわかります。
試合を制するためには、試合に勝つためには、サーブとリターンを徹底的に強化するのが先決と言っても過言ではないということです。
極論を言えば、サーブとリターンだけを極めて、誰とやってもそれだけで5割以上のポイントを取れれば世界No.1になれます。それがテニスです。
もちろん、理論上はそうですが、それは現実的ではありません。もう少し現実的なことを考えてみます。
必ずしもサーブとリターンだけでポイントが取れなくても、5割以上を、サーブとリターンでチャンスボールをつくり、次のショットをフォアハンドストロークで回り込んで仕留めることができれば勝てます。
あるいは、たとえチャンスボールが作れなくても、5割以上をサーブとリターンで相手に攻めさせない状態を作り、次にフォアハンドストロークとバックハンドストロークでその優位性を維持し、ポイントを奪うことができれば勝てます。
現世界No.1のノバク・ジョコビッチ選手はまさにこれです。
サーブとリターンの次のショットにボレーを選択しない理由は、ストロークを選択するよりも難しく、リスクが高いためです。
つまり、テニスの原理原則から考えると次の4つのショットをこの優先順に追求することが勝利への近道といえます。
もちろん、この4つは必要最低限のレベルにする必要があって、その中でも飛び抜けて自信のあるショットをどれにするかが重要という話はありますが、今回はその前段階の話です。
その必要最低限を習得するまでの優先順と理解してください。
さて、この4つを絞るだけなら誰にでもできます。重要なのはそのなかでも特に重要なショットが何かです。
前回シングルスの基本戦術について書きました。そこでは「まずなによりも先に、基本戦術を習得しましょう」と言っています。その基本戦術もこの4つのショットで構成されています。
基本戦術を構成する球種とコースは以下です。
- ファーストサーブはフラットをワイドへ
- セカンドサーブはスピンをバックへ
- リターンはブロックリターンをフラットでクロスへ
- ストロークはスピンを順クロスへ
これを徹底的に体に叩き込みます。これだけでも勝てるようになります。
勝利に必要なレベルは「どんなボールも返球できて当たり前」
次にこのショットをどのレベルまで追求できればいいのかを考える必要があります。
どのレベルになったら他のコース、他の球種、ボレーやスマッシュに取り組めばいいのか。ここではその基準を明確にします。
試合に勝つことを目指す選手の場合、戦っている相手のレベルが違うだけで、この基準はアマチュアもプロも同じです。
自分が属するレベルの下から8割の選手が打つボールであれば「どんなボールも返球できて当たり前」というレベルが安定した勝利に必要なレベルです。
ストロークであれば、相手の深いボールもライジングで普通に打ち返せるレベルです。
目指すべき成功率を具体的に示すと以下となります。
勝利のために、試合を知った上で、習得すべきショットを絞ってまずはそれだけを極めろ!