元某大学テニス部コーチブログ

学生テニスプレーヤーへ

大学のテニス部ってどんな世界?高校との違いやレベル、やり甲斐を解説。

今回は、間もなく受験生となる高校生テニス選手のために、「大学のテニス部がどんな世界なのか」についてです。

 

では早速、本題に入っていきます。

 

高校テニス部との最大の違いは「チーム」であること

 

まず、わかりやすいと思うので高校テニス部との違いから紹介します。

 

最大の違いは「個」か「チーム」かです。

 

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ジュニア時代と呼ばれる高校までは、個人競技としてテニスに取り組んでいる人がほとんどです。自分が結果を出してナンボの世界。テニス選手の本来の姿に近いかもしれません。

 

それに対し、大学の体育会庭球部に所属することは、ある意味で団体競技に取り組むことを意味するといっても過言ではありません。部員の最終ゴールは毎年一回9月に開催される団体戦「大学対抗テニスリーグ」で昇格または優勝することです。

 

もちろん、春と夏に開催される個人戦を目標とすることもできます。それでも、大学の代表として選出されたレギュラー選手たちには、その個人戦をリーグ本番に向けた実践の場のひとつと位置づけている選手が少なくありません。

 

激闘の「大学対抗テニスリーグ」とは

 

大学対抗テニスリーグは、プロ野球セ・リーグパ・リーグのように考えるとわかりやすいです。プロ野球はセパ2リーグしかありませんが、大学対抗テニスリーグは、北海道、東北、北信越、関東、東海、関西、中国四国、九州と8リーグ存在し、それぞれのリーグのトップ校が「全⽇本⼤学対抗テニス王座決定試合」に参戦することができます。

 

ただ、プロ野球と異なり、大学テニスリーグはチーム数が膨大です。ここでは、もっとも規模の大きい関東大学テニスリーグ男子について簡単に説明します。

 

関東大学テニスリーグ男子は2019年現在全77校が競い合っています。チーム数が多いため、1部リーグから7部リーグまでで構成され、1部から6部まではそれぞれ6校、7部に残りの41校が属しています。

 

この詳細をランキング形式にまとめている前回の記事も参考にしてみてください。

 

大学庭球部のゴール「昇格」とは

 

2~7部に属する大学庭球部の目標は昇格です。昇格とは、例えば2部に属する大学であれば1部に上がることをいいます。各部上位2校がひとつ上の部の下位2校との入れ替え戦に挑むことができます。1部に属する大学には昇格がないため、リーグ優勝、さらには王座優勝が目標となります。

 

団体戦の構成人数は?

 

関東大学テニスリーグで決められているチーム構成は以下の通りです。Sはシングルス、Dはダブルス。1人の選手がSとD両方に出ることができます。

 

男子:
S1 / S2 / S3 / S4 / S5 / S6 / D1 / D2 / D3
1チーム最低6人

 

女子:
S1 / S2 / S3 / S4 / S5 / D1 / D2
1チーム最低5人

 

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大学庭球部に入ると皆、レギュラーになるために部内ランキングで上位5位6位以内に入ることを目指します。

 

では、その戦いがどのようなレベルなのかについて話を移していきましょう。

 

頂点はプロレベル、下部でも強い選手はたくさんいる

 

関東大学テニスリーグの1部に属する大学のS1の選手は皆、日本ランキングで50位以内に入るプロ同等のレベルです。

 

2020年3月4日現在、学生ランキング1位の早稲田大学の島袋将選手は日本ランキング14位。学生2位の中央大学の望月勇希選手は20位です。この2選手は2019年、日本の頂点を競い合う全日本テニス選手権大会でベスト4に残るという快挙を成し遂げています。この年は、ベスト4の内の半分が大学生でした。そして、大学テニスの年々上がっています。

 

また、3部以上の大学はスポーツ推薦枠があるので実績のある強い選手がゴロゴロいると考えてよいでしょう。

 

 

さて、ここからは4部以下に属する大学のレベルに話を移します。ここには、高校で本格的にテニスをしていて実績もあるがスポーツ推薦枠には届かなかった選手、または、あえてスポーツ推薦を選ばなかった選手がいます。

 

現に、高校で本格的にテニスをしていて、ある程度の実績を持つ新入部員は皆「想像していたよりもレベルが高い」と話します。下部というだけで「たいしたことないだろう。S1になれるだろう」と考えてしまいがちですが、それは違います。

 

関東大学テニスリーグ男子の場合、最下部の7部でも、6部校との入れ替え戦を狙えるポジションにいる上位2校のS1はかなりレベルが高い選手がいると考えておいて損はありません。自信のある選手も心して臨んだ方が良いでしょう。

 

最後は、大学庭球部のやり甲斐についてです。

 

ともにガチで昇格を目指す最高の仲間がいる

 

大学に進学し、体育会でテニスをしたいと考える人たちは本当のテニス好きです。皆、「ガチテニスが好きだから体育会」「中途半端は嫌だから体育会」なのです。彼らの多くが、自分の人生を自分で決め、自分を信じ、自分の足で前に進む人たちです。

 

そんな人間が集まり、昇格という同じ目標に向かって心をひとつにします。志の同じ彼らと多くの時間をともにします。そのため、同期はもちろん、先輩も、後輩も、一生ものの、心の通った最高の仲間となります。これは文字通り、死ぬまで付き合う最高の仲間です。

 

これが、大学庭球部に所属する最大のメリットです。

 

もちろん、社会に出てからも通用する人間に「成長」できるというメリットもあります。しかし私は、間近で彼らを見ていて、何よりもこの「仲間」こそが、他では得られない最大のメリットであり、彼らとともに目標に向かって心をひとつにできることがやり甲斐と確信しています。

 

大学庭球部は真剣勝負の世界です。辛い時もあります。苦しい時もあります。それでも、ひとつの目標に向かってともに戦う仲間がいます。それはかけがえのないものとなります。

 

人生は一度です。花の大学生活を、目いっぱい濃いものにしてください。

 

それではまた、きっとどこかで。