調子の波がある選手は人として未熟。その理解が勝率を上げる第一歩。
「昨日できたのに、なぜか今日はできない」
「前回の勝った試合は調子よかったのに、今回は調子悪くて負けた」
今日は調子がいい、悪いと話す選手は少なくありません。
しかし、私にいわせれば、それは人として未熟なだけです。
こんな切り捨てるようないい方をするとショックを受ける選手も出てきそうですが、「うわ、ショック。モチベーション下がる…」と反応するのではなく、どういうことか考えてみましょう。ちゃんと自分と向き合いましょう。
実際、この問題を解決できるか否かは、ここが分かれ道です。
ここで向き合えた人が、調子の波をなくすことができます。調子のよい状態を安定的につくれる選手になれます。
自分とちゃんと向き合ってこなかった選手が、調子を安定させることはできません。
今回は、これがどういうことか説明します。
自分はこんなもんじゃない
「調子が悪い」は言い換えれば「自分はこんなもんじゃない」です。
が、事実、こんなものなのです。
それを想定内にして試合の準備をしておかなければいけません。
実際は練習の時と試合の時でミスをしている量が変わらないのに、「試合だとミスが増える」と感じてしまう人さえいます。
つまり、調子の波がある選手は、自分のことを客観的に見れていないということです。自分のことをわかっていないのです。
「人として未熟」と表現した理由はこういうことです。テニスの技術が未熟という話ではありません。
この問題を解決するためには、
「そうか、俺はまだまだこんなものなんだ」
ということに気づき、認める必要があります。これが第一歩です。そしてもちろん、これだけではダメです。自己分析が不可欠です。
「じゃあこれを安定的にできるようになるためにはどうすればいいか考えてみよう」
となる必要があります。かなり深く考え、真剣に自分と向き合う必要があります。さらに、
「そうか、自分はいつもこんな時にこう考えているけど、それがいけないのかもしれない。そうじゃなくて、もっと重要なことはこっちなんじゃないか?次はそのことに意識を集中してみよう」
となる必要があります。行動を変える必要があります。さらに、
「ダメだ。それをしてもダメだった。じゃあどうすればいいんだろう。あ、そうか、こうなんだから、こうした方がいいかもしれない。やってみよう」
となる必要があります。根気強く、自分と向き合い、何度も何度も試行錯誤を繰り返す必要があります。
「自分は◯◯だから、こうした方がいいかもしれない」と考え、自分の行動を変えていくのです。
特に重要な点は「◯◯だから」と理由を考えることです。これができれば答えは見つかりやすくなります。
考えて、行動を変えていく。
これを繰り返せば必ず短期間で、プレーを調子のいい時と同じレベルで安定させることのできる自分に生まれ変わることができます。ひいては、勝率を上げることができます。
繰り返すといっても、気づいて意識を変える(自ずと行動も変わる)だけなので、うまくいけば数日で生まれ変わることができます。技術の習得よりは圧倒的に短い時間でクリアできる可能性があるといえます。
自分と向き合ってこなかった人は、是非、この機会にしっかり向き合ってみてください。まずは、自己分析からはじめましょう。
ちなみに、これにより培われる自己分析力は、社会に出てから自分を助けることになります。それこそ、就職活動にも活かすことができます。自己分析により、自分の強みや弱みまで把握できれば、それを訴求することで、企業側もその人材の活かし方をイメージしやすくなります。そういった意味でも、是非、前向きに取り組んでみてください。
最後に、もうひとつ重要なことを挙げるとすれば、それは前述の試行錯誤を真剣勝負の「試合」という本番の場で実践するということです。
試合における調子の波問題は、練習だけでは絶対に解決できません。それは、少し考えれば誰でもわかると思います。
今回は、何となく少し突き放すような表現になりましたが、いつも応援しています。やってやりましょう。
それではまた、きっとどこかで。