元某大学テニス部コーチブログ

学生テニスプレーヤーへ

優勝できる選手とできない選手の差は技術ではない

昨年末、小学1年生の息子が大会4回目の挑戦にしてはじめて優勝しました。

f:id:manymanythanks:20190111080912j:image実際の表彰式の様子


それは10歳以下のオレンジボールの大会で、この日は小学1年生~3年生の計10名が名誉をかけて戦いました。

 

オレンジボールの大会といっても羽子板テニスではありません。彼らはしっかりテニスをします。見応えのある打ち合いや、競り合いをたくさん観ることができます。

 

セルフジャッジの4ゲーム先取ノーアドバンテージルール。予選リーグ2試合、1位2位トーナメント3試合を勝ち上がると優勝です。

 

息子は予選リーグ初戦で参加選手の中でもっともランクの高い選手に競り負け2位通過となりましたが、決勝は同じ選手にリベンジを果たし優勝しました。

 

私は息子が優勝できた要因を以下のように分析しています。

 

優勝する選手には他の選手にはないものが備わっているから優勝できます。例えば以下のようなものです。

 

  1. 闘志
  2. モチベーション
  3. 自立心
  4. 自信
  5. 分析力
  6. 思考力
  7. 技術
  8. 身体

 

よく言われる心技体ですが、私は、心は頭がつくると考えています。選手を構成する要素には、頭、心、技、体があります。

 

この日の試合を観ていて、息子がほかの選手より長けていたのはこの8つでいうと自立心、自信、分析力の3つでした。頭と心です。

 

この頭と心の差こそ、優勝できる選手とできない選手の差です。


それは世界のトッププロの試合を観ても明らかです。

 

今年約3年ぶりにATPツアー大会で優勝した錦織選手は、2016年から決勝で9連敗していました。

 

フェデラー選手はインタビューの際に錦織選手について「勝者のマインドを身につければもっと勝てるようになる」と話しています。

 

勝戦で戦う2人の選手の技術レベルには実際ほとんど差がありません。ボールは打ち返せて当たり前という世界です。


これは、勝った人が残るというトーナメント形式の原理原則と技術重視になりやすいスポーツというものの性質が理由のため、プロもアマチュアも同じです。

 

息子が大会に出たこの日も、同様の試合に何度も出ている選手も多かったので、闘志や優勝へのモチベーションを備えている子はたくさんいました。

 

また、技術的にも息子より上の子がいました。体格も体調も大差はありませんでした。

 

思考力は計り知れないところですが、試合後にお父さんと会話しながら、良かった点悪かった点、次の試合で心がけることを自分の言葉で確認している選手もいたので、その手の話を全くしない私と息子よりはその子の方が考えられていたかもしれません。

 

ただ、自立心、自信、分析力の3つは息子が群を抜いていました。

 

私の指導方針もあり、テニスに関して、彼は圧倒的に自立しています。初戦で競り負けた時も2位通過すれば優勝できる可能性が残ることがわかっているので冷静でした。

 

また、試合前の数分の練習や待機時間に他の選手のプレーを観て周りのレベルを分析した上で、前回準優勝し、さらに腕を磨いてきた自分のレベルと比較し、十分優勝を狙えるという自信を持てていたことは当日の様子からうかがえました。

 

そして、本当に見事に優勝しました。

 

優勝直後も、明らかに私より息子の方が冷静でした。優勝を決めたポイント直後の、予定通り仕事を終えて言う「よしっ」のような、小さなガッツポーズがそれを証明していました。


技より頭と心の方が重要

 

さて、前述の「心+頭、技、体」。私はその優先順を以下と考えています。

 

 

もちろん、実際は頭と心と技は同時ですが、その中でも特に重視すべきなのが頭です。

 

理由は、頭が育てば、心技体は本人が自分で磨くようになるからです。自分で解を見いだせるようになります。自分で自分をコーチできるようになります。

 

要は、地頭を育てるということです。

 

地頭のいい選手は、常に専属コーチを帯同しているようなものです。実際のコーチが側にいなくても成長し続けます。

 

また、適切な指導者を自分で選定し、アドバイスをもらえるようにもなります。かつ、自分に不適切なアドバイスを破棄できるようになります。

 

一方そうでない選手は、実際にコーチが側にいる間しか大きく成長することができません。ここに大きな差が生まれます。

 

コーチが言ってはいけない2つのこと

 

ここからは、選手の頭だけでなく心も育たなくするコーチがやっていることについて書きます。

 

選手は、これらの大人たちから逃げる必要があります。


コーチや親など、周りの大人がやってはいけないことは次の2つの発言です。

 

  1. 比較
  2. 否定

 

これは黙っていても選手本人が本人のペースで適切にはじめる事であって、周りの大人が本人に向かって言うべきことではありません。


これをされると選手はやる気を奪われ、自分で考え発言することをしなくなります。度が過ぎれば、最後は生きる気力さえも失います。


時に選手はコーチに感謝する必要はあるかもしれませんが、人間としては対等であるべきです。縦の関係ではなく、横の関係であるべきです。


コーチを評価し、これらの発言をするコーチからは距離を置くようにしましょう。


では逆に、良いコーチは選手の頭や心を育てるために何をしているのでしょうか?これについてはまた次回書きたいと思います。


優勝したければまず頭、次に心を磨け!