元某大学テニス部コーチブログ

学生テニスプレーヤーへ

試合に強い選手は「練習よりも試合」をしている、知っている

あなたのテニスのゴールは何ですか?テニスでどんな結果を得られればあなたの心は満たされますか?

 

今回はまずこの問いについて、自分の答えを確認してみてください。

 

その答えは大きく次の2つに分けられます。

 

  1. 勝利
  2. 上達

 

主に試合に勝つためにテニスをしている学生テニスプレーヤーが対象のこのブログでは、言うまでもなく「勝利」をゴールと定める人に向けて書いています。

 

そしてその人たちを私は「選手」と呼んでいます。

 

また、私は普段、大学の選手たちに「上達を実感することはとても重要なことだ」と伝えています。ただし、上達はゴールではありません。

 

ゴールは勝利です。

 

上達は勝利するまでの通過点です。しかし、ここに落とし穴があります。

 

最近、本人は真剣に勝利をゴールと定め努力している選手が、本人の気づかぬ間に上達をゴールとしている人と同じ思考、同じ活動になってしまっているケースがあるということがわかりました。

 

スポーツとは、試合とは

 

「負けた。悔しい!練習がたりない。試合に勝てるようになるためにもっともっと練習だ!」

 

テニスに限らず、負けた時にそう考える人はとても多いです。

 

大学にも練習熱心な選手がたくさんいます。それなのに試合でなかなか勝てないという選手は少なくありません。

 

彼らからよくよく話を聞いてみると次のように考えていることがわかりました。

 

「試合は練習して自信がついたら出るもの」

 

「練習でできないことは試合でもできない」

 

「試合が本番で、練習は成長機会」

 

「練習の時の調子の良い自分が本当の自分であり自分の実力」

 

「試合では自分の力を70%発揮できれば上出来」

 

ズバッと切りますが、これらはすべて間違っています。こう考えるのは、スポーツとは何か、試合とは何か、そういったことがわかっていない証拠です。

 

このように考えている人が、勝利をゴールと定めているつもりが、実際は上達がゴールになってしまっている人です。

 

勝利をゴールにできている選手は以下のように考えています。

 

「試合に出るチャンスがあれば練習をキャンセルしてでも試合に出て、試合慣れすべき。当然積極的に出れる試合も探すべき」

 

「練習していないこともできてしまう環境が試合」

 

「試合も練習も本番であり、成長機会」

 

「試合の時の自分が本当の自分であり、それが自分の実力。練習でどうだったかはあまり重要ではない」

 

「試合で自分の力を100%発揮するのは当たり前。120%発揮する(試合の中で成長する)」

 

スポーツは、真剣勝負の世界です。試合は、極限状態のぶつかり合いです。

 

練習では引き出せない力を引き出すことのできる環境が整っているのが試合です。

 

繰り返しますが、勝利のみがゴールです。まだ勝っていないのに満足してはいけません。勝ってなんぼの世界です。

 

すべてのショットを打てるようになることにさえ価値はありません。例えボレーが打てなくても、スマッシュが打てなくても、勝った方が強い選手なのです。

 

それが選手にとってのスポーツです。

 

そして、勝利を追求してはじめて、スポーツが人生の糧となります。

 

まず、このことを理解する必要があります。

 

試合に勝つために本当に必要なことは試合に出ないとわからない

 

ここまで読んだだけで今までの思い込みを払拭できる選手もいると思います。今から行動を変えましょう。

 

試合に出ましょう。

 

「まず練習、次に試合」ではないんです。「まず試合、次に練習、また試合」なんです。それがスポーツを知る正しい順番です。

 

まだ未熟でも、出来るだけ近いレベルの初対面の選手と、本気でやり合える機会を自ら作りましょう。そして、もがきながら、何度負けても繰り返し挑戦しましょう。練習は、その合間にするものです。

 

まず、試合のスケジュールを立てて、その合間に、それに向けた練習をするんです。

 

どれだけ練習を重ねても、はじめての試合本番で勝ち続けられる人はいません。

 

これは物事の原理原則です。人間は経験していないことにはじめて挑戦し、いきなり成功し続けることはできないのです。

 

ましてや大学のリーグのような団体戦の場合、選手にのしかかる試合本番のプレッシャーは半端ではありません。それを他で経験することは到底できません。

 

試合に出れない選手、先輩、後輩、OB/OGまで。応援してくれるすべての人の期待が選手の肩にのしかかります。

 

だからほとんどの選手がはじめは本来の力を発揮できません。負ける選手の方が圧倒的に多いのが事実です。

 

そのプレッシャーを何度も経験してはじめて、試合中に何に気持ちを集中させないといけないのかがわかってきます。自分の勝ちパターンがわかってきます。

 

練習だけしていてそれがわかるわけありません。

 

何よりもまず「勝つために戦う試合とはどんな世界なのか」それを知ることが先です。そして、その難しい世界を戦い抜いて勝つことの喜びを知ることが先です。

 

それを知っている人が言う「もっともっと練習だ!」は正しい。それには、具体的に何を練習すれば次の試合の勝率が上がるかが明確になっているから。

 

試合に勝つためには練習だけではダメ!練習同等、いやそれ以上に、まず試合に出るべしッ!

 

勝ち続けるトッププロのように。

試合、試合、練習、試合!