元某大学テニス部コーチブログ

学生テニスプレーヤーへ

チームを強化するために主将がまず分析すべき部員4タイプ

以前、優勝できる選手とできない選手の差は地頭と強い心を備えているか否かと書きました。

 

さらに地頭と強い心を育ててくれるコーチがやっていることについても書きました。特にはじめは地頭を育てることが重要と。

 

そして前回の投稿では、その育て方のヒントを書きました。

 

つまり、チームのリーダーである主将が自分のチームを強化していくことを考える時も、こういったことを考える必要があります。

 

しかし、私の経験から、実際はそう上手くはいかないことがわかっています。その理由は以下です。

 

地頭は、6歳までに完成する。7歳以降はほぼ育たない。

 

もちろん個人差はあるので5歳までの子も7歳までの子もいると思います。

 

少なくても私の息子は6歳でほぼ完成していました。それに気づかさらたのはやはりテニスをしている時でした。

 

私と試合をする中で、何度も負けながら、私に言われるでもなく、自分で問題を解決し、プレーを改善し、4セット目を勝ち取ったのです(こちらは一定のレベルを保って相手をしている上でです)。

 

その時、地頭レベルはすでに私を超えてるとさえ思いました。とても感慨深い瞬間で、今でもその瞬間の景色を鮮明に思い出すことができます。

 

そして今、この記事を書くタイミングで調べてみたところ、それは脳科学の常識でした。

 

もっとも有名な情報が「スキャモンの発達曲線」です。

 

f:id:manymanythanks:20190122213906j:image引用元:スキャモンの発達・発育曲線 | | DIVERSITY x CREATIVITY

 

この内「神経型」という曲線が、脳などの成長を示した曲線です。

 

0歳から6歳までの間に急激に成長し、6歳の頃には90%近くに達しています。これは私が息子から肌で感じた地頭成長スピードと同じです。そして、7歳以降はほとんど横ばいになっています。

 

また、7歳以降に地頭を育てようとする、すなわち、この曲線を上に曲げようとすることは不可能ということは、社会に出てからたくさんの人と仕事をする中で思い知らされました。

 

考えを論理的に組み上げたり、話を深く掘り下げることが出来ない人はとことんできません。

 

つまり、ここで結論づけたいのは、チームのメンバーに地頭のない選手しかいない場合、地頭を育てることに労力と時間を使わない方がよいということです。

 

試合では最終的に地頭の差が勝敗を分けることは少なくありませんが、チームで戦う大学のリーグという視点でいうと、地頭は全員に備わってないといけないものではありません。

 

また、努力できる人とできない人がいます。努力できない人を努力できるように働きかける行為もチームにとって悪い影響をもたらすことがほとんどなのでお勧めしません。

 

ではどうすればよいか、説明します。

 

部員を4つのタイプに分ける

 

どうやってチームを強化するかを考え、活動に落とし込むのも主将やそれに準ずる部員の役目です。

 

その際にはじめにやるべきは、部員を「努力」と「地頭」の有無で4つのタイプに分類することです。

 

ここでいう努力は、選手として必要な努力です。

 

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「いやいや、大学の体育会に努力のできない奴はいらない」と考えた人は少なくないと思います。

 

理想はそうです。

 

しかし、この理想を描けないまま、それでも目標を達成しているチームが世の中にはたくさんあります。

 

また、特に規模の小さい大学の場合、努力のできない奴はいらないという考え方では部員が確保できず存続することが難しくなります。

 

たとえ理想の努力や地頭を持ち合わせてなくても、チームの力になれる役割はいくらでも作れます。レギュラー選手以外の部員にもチームのためにやれることがあるのと同じです。

 

ここからはそれぞれのタイプについて説明します。

 

1. 自立選手型

 

このタイプは、努力ができる上に地頭のある人間なので、以前の記事にも書いたように、自分で自分をコーチできる上に、圧倒的に練習します。

 

エースなのにさらにどんどん強くなる選手が踏んでいた4つのステップで紹介した選手がまさにこのタイプです。

 

本当にどんどん成長します。必然的にレギュラー選手最有力候補になります。

 

常に、勝利という結果をたくさん残せるようになるために今もっとも注力すべきことが自分の中で明確になっています。そのため、目標達成まで最短距離で走り抜けることができます。

 

逆に、他人の圧力で自分の考えと違うことをやらされる環境だと潰れます。

 

わかりやすくいうと、ほっといた方が伸びるということです。もちろん、的確なアドバイスをすれば、自分の考えをどんどんとより正しい方向に更新し、自分のものにしていきます。

 

このタイプの部員には、何よりもまず自由を与えることを考えましょう。

 

2. 依存選手型

 

このタイプは、努力はできるけど地頭がない人間です。わかりやすい例をあげると、練習はたくさんしているのに勝てない選手です。

 

テニスの本質や勝負の本質をわかっていないため、今もっとも自分が注力すべき課題を適切に選択できてい、わかっているけど考えが浅い、そもそも何も考えずにただただボールを打っているだけといった部員たちです。

 

つまり、地頭のある人がやるべきことを決めてあげてノルマを与えると伸びます。レギュラー選手の有力候補にもなり得ます。

 

次に紹介する自立支援型の部員とペアにすると良いでしょう。

 

3. 自立支援型

 

このタイプは、自分が選手として努力することはありませんが、地頭がいいのでチームや特定の選手が重視すべき課題が見えている人間です。

 

そのためチームの頭脳となり、前述の通り、依存選手型の強力なパートナーになり得ます。監督やコーチのような役割をイメージするとわかりやすいかもしれません。

 

選手の技術やメンタル面の管理、自校だけでなく競合校の分析、ベンチコーチなどでも力を発揮します。

 

逆に、このような役割を与えられないと、チームに対する貢献度は次に紹介する依存支援型と同等となります。これは非常にもったいないことです。

 

4. 依存支援型

 

このタイプは、悪くいうと地頭がない上に努力もできないという人間です。こういうと「最低。部員としてふさわしくない」と考えてしまいがちですが、実はチーム力という観点でいうと必要な存在です。

 

というのも、このタイプは人のためになりたいと思っていることが少なくありません。また、チームの一員でありたいという気持ちも持ち合わせています。

 

つまり、あまり他の人がやりたがらない雑用や試合中の応援などで力を発揮します。

 

また、このタイプにチームの力になってもらうためにはひとつ注意が必要です。

 

このタイプは、いわゆる承認欲求の強いタイプでもあります。だから「いつもありがとう。とても助かっている」「応援ありがとう。力になる」と感謝を伝える必要があります。

 

それがないとさらにモチベーションを失い部を去っていきます。大学のリーグ本番では、応援の量やチームの団結力が勝敗を分けていることも少なくありません。

 

どんなタイプの部員も考え方次第で必ずチームの力になる!少しでもチームの力になるものはすべて活かしましょう。