自分のミスに嘆く時間が長ければ長いほど負けに近づいている
今回は、試合中の振る舞いは勝敗にも大きく影響するということについて書きたいと思います。
もちろん、相手と1対1、ないしは2対2で対峙し、ボールを打ち合うテニスは、相手との実力の差で勝敗が決まります。つまり、例え振る舞いが悪くても、実力が高ければ勝てます。
その実力を決める要素は沢山あります。技術、体力、精神、戦術。
技術面についていえば、フォアハンドストローク、バックハンドストローク、フォアハンドボレーなどなど、それぞれが相手と比べてどうか。
体力面についは、持久力や瞬発力、筋力、動体視力などが相手と比べてどうか。
それらの総合力が実力差を決め、勝敗を決めます。
振る舞い=精神面の現れ
今回のテーマである「振る舞い」は精神面のもっとも重要な要素のひとつです。なぜなら、振る舞いは精神面の現れだからです。
今回の話は、仮に精神面を除く要素の総合力が相手と同じだった場合、心に隙がある方が負けるという話です。
当たり前ですが、精神面が成熟すれば誰にでも勝てるという話ではありません。
この記事のタイトルにある「嘆き」は、よくない振る舞いの代表格です。嘆きは、精神状態がよくないということと等しい。嘆いている間は心に隙が生まれています。
言い換えるまでもなく、嘆きがNGである理由は、それが精神の乱れを意味しているからです。
つまり厳密には、嘆きがNGなのではなく、精神を乱すことがNGということです。
ジョコビッチは全仏で敗戦しただけでなくファンも失った
試合中の振る舞い、態度が勝敗を分けたよい事例が、1ヶ月前の全仏オープン男子準決勝のジョコビッチ対ティエムです。
この日は非常に風の強い一日でした。そんな中、この対戦の直前、もうひとつの準決勝、ナダル対フェデラーは実施されていました。もちろん、この2人は強風の中、紳士な態度で最後までプレーをしています。
第1セット、優勝を本気で目指し、超がつくほど勝負に集中していたティエム選手がリードすると、ジョコビッチ選手は強風を理由に試合を中断するよう審判に抗議します。この振る舞いがよくなかった。
会場からはブーイング。ポイント間もなにやら色々と言っています。誰がどう見ても、ジョコビッチ選手が勝負に集中しているとは思えない状況でした。
ナダル、フェデラー、ティエムは強風の中、真剣に戦っていましたが、ジョコビッチだけが違いました。
それでも実力のあるジョコビッチ選手は第2セットを奪い返すから凄いのですが。
結局、第3セット序盤で雨も降り出し中断、再開は翌日となります。
この時、この試合を観ていた多くのテニスファンが「ティエムを勝たせてあげたい」と思ったに違いありません。
現にツイッター上ではそれに関するツイートをたくさん確認できます。
RTなによそれジョコ!いくらなんでも自分勝手すぎるしマジありえない!👎何で大会側もそれ許すの?ティームに失礼すぎる😡
— Vamossss!Kei!!🎾⛸🍰 (@chocochip490136) 2019年6月8日
ジョコは劣勢になるとすぐ不機嫌になるのが悪いクセですよね😫
— たか@JGCテニス (@jgctennis) 2019年6月7日
そこらがナダルやフェデラーと違う所ですね。
ティームもすごく良いプレーしてますので、今日続行したらチャンスありそう☺️!
そして最後はフルセットの末ティエム選手が勝利しました。僅差でした。なので、ジョコビッチ選手は、嘆いていなければ勝っていた可能性は高いと考えています。
自分のミスに嘆く理由は自分の実力を見誤ってるから
ジョコビッチ選手の例は、天候や大会運営側に対する嘆きでしたが、多くの選手がよく見せる嘆きがあります。
それが、やり切れない自分に対する嘆きです。
「なんでそこでミスるんだよ…」
「あんなの打たれたら無理…」
「あのミスはやってはいけなかった…」
試合中に頭の中で、あるいは声に出して、これらの嘆きを頻繁にしているという選手も少なくないと思います。
最悪の場合、ポイント間の20秒のほとんどを嘆きに使っていることもあるかもしれません。
前述の通り、これは精神の乱れの現れであり、心に隙が生れている瞬間なので対策すべきです。
自分に対する嘆きは、自分に対する期待や理想と現実に差が出た時に出ます。
「勝つためにはこうあるべき。なのにできなかった。ダメだ」
試合中に嘆いたあなたに私はこう言いたい。
「いや、ダメだ、じゃない。そこでミスするのがあなたの実力です。それを想定内と受け止められないといけない。それくらい自分のことを正確に理解しておかないといけないということです。その上で次どうするか。考えるべきはそこです。まだ試合は終わっていない。最後の1ポイントを取られるまで、負けは確定しないんです。できなかった過去の自分に嘆いている暇などないはずだ。最高の成果を上げるために、未来の自分が何をすべきか考えることに時間を使いましょう」
自分の実力を正確に理解できていれば心は乱れない!自惚れるな!謙虚であれ!