元某大学テニス部コーチブログ

学生テニスプレーヤーへ

レギュラーを部内ランキングで決め、部内戦が活発化しているテニス部は強くなる。

関東にある大学のテニス部は、今まさにリーグ本番です。今日が最終戦という部も多いでしょう。今年は男子が全77校、女子が全66校。しのぎを削って戦っています。

 

私がコーチを務める大学ももちろん戦っています。本番直前、部員には以下のメッセージを届けました。

 

みんなここまで努力を続けてきました。レベルをどんどん上げてきました。戦う準備は十分できています。

 

あとは自分らしく戦い抜くだけです。やり切るだけです。最後の最後まで、力を振り絞って、何が起きても下を向くことなく、前を見て、自分らしく戦い抜くだけです。

 

自分らしく、自分らしく。やり切りましょう!出し切りましょう!

 

みんななら、できます。

 

さて、このリーグ本番が近づくにつれて重要になることのひとつがレギュラーメンバーの決定です。

 

今回は、それを決めるシステムとなる「部内ランキング」と「部内戦」のあり方、さらには部が強くなるために不可欠な風土とやってはいけないことについて書きたいと思います。

 

当然レギュラーは実力で決める

 

言うまでもなく、競技スポーツとしてテニスをする体育会の場合、シングルスもダブルスも実力順でレギュラーを決めるべきです。

 

男子であれば部内ランキング6位、女子であれば5位までに入ればレギュラーとして試合に出れることがほぼ確定するというシステムが当たり前になっている必要があります。

 

ダブルスのペアは実力に加え、相性で決めるべきですが、シングルスをやらないダブルス職人と言われるような特殊な選手がいない限り、シングルスの実力順=部内ランキング順に、男子であれば上位6〜7名から3ペア、女子であれば上位4〜5名から2ペア作るという考え方が基本となるでしょう。

 

このレギュラーを決める基準がブレると必ず揉めることになります。

 

毎年これが原因で本番直前にチーム内が最悪の雰囲気になるという部もあるのではないでしょうか。

 

本当の意味で勝つことが目的となっていない部、情を重視する幹部や主将のいる部によくある話です。

 

絶対にやってはいけない「引退選手への配慮」

 

レギュラーを決める基準をブラすきっかけとなりやすいよくある事例が、「今年が最後のリーグとなる先輩への配慮」です。

 

体育会テニス部のゴールはリーグ昇格です。

 

そのために最善の選択、最善の決断をしていかなくてはいけません。今つくれる最強のチームで試合に臨まなくてはいけません。

 

だからこそ、部内ランキングがすべてと考えるべきです。

 

そのことを忘れ、

 

「最後のチャンスだから試合に出してあげなくては」

 

と考えてしまう幹部がいます。これは絶対にやってはいけないことです。

 

そう考えることは、「昇格」ではなく「思い出づくり」がゴールに差し代わっていることを意味します。それはテニスサークルですることです。

 

繰り返しますが、すべては部のゴール「昇格」のために決断していかなくてはいけません。

 

例え、今年の昇格が絶望的となっても、次世代が昇格に繋げられるよう、本気で残留しなくてはいけません。

 

最下部であれば、最下部内における自大学のランキングが次年度の予選ブロックの組み合わせに影響します。次世代にとって少しでも有利な組み合わせになるよう、最後の一試合まで最善を尽くすべきです。

 

情を働かせている暇などないのです。

 

迷わず部内ランキング上位選手でレギュラーを構成しましょう。

 

さて、次の話もやってはいけないことです。

 

 

男子6位、女子5位の選手は下位選手から勝ち逃げしてはならない

 

リーグ本番が近づくにつれて、油断できないのが男子6位、女子5位の選手です。その次の選手がレギュラーの座を狙っています。

 

私がコーチをする大学でも、リーグ本番第1戦の直前だけでなく、第1戦と第2戦の間などにも部内戦が活発に行われています。

 

部員の多くが、レギュラーになること、部内ランキングを1つでも上げることを目指し、部内戦が活発に行われている部とそうでない部、どちらの方が成長率が大きいかは言うまでもありません。

 

つまり、部内ランキングでレギュラーが決まることに加え、先輩後輩関わらず、選手が上位選手に対して部内戦をいつでも挑める風土とシステムが、部を強くするポイントのひとつと言えます。

 

部内戦をどう運用し活発化させるかが強い部をつくるカギ

 

ここからは部内戦のあり方についてです。どこの大学も「部内戦はこういうものだ」という、代々受け継がれてきたルールがあると思います。

 

もしかしたら、あたりまえとなっている今のルールがあるがために、部内戦をする選手が少なくなっている可能性も考えられます。

 

なので、今一度それを疑ってみてみることをおすすめします。さらに自分たちの代が幹部になったら、必要に応じてそのルールを変えます。

 

例えば、以下のルールがある場合、部内戦活発化の妨げになっている可能性は高いでしょう。

 

  • 挑戦を受けても断れる
  • 合同練習中は部内戦を実施できない
  • 挑戦できるのは月に1度まで
  • 挑戦を挑める相手は自分のひとつ上位の選手に限る
  • 部内戦はやらなくてもよい

 

逆に次のルールがあれば活発化しやすくなります。

 

  • 下位選手からの挑戦は断れない上、原則2週間以内、遅くても1ヶ月以内には試合を実施する
  • 真剣勝負の試合は練習以上に重要なため、合同練習中に実施しても良いこととする
  • 同じ相手に月に2回挑戦しても良いこととする
  • 挑戦を挑める相手は自分のふたつ順位が上の選手にも挑むことができ、下位選手が勝った場合は、ランクが入れ替わこととする

 

そもそも、次のルールを設けて部内戦を義務化するというのも有効です。

 

  • 少なくとも2ヶ月に1度、上位選手に挑戦することを義務とする
  • 奇数月を部内戦月間とする

 

ガチの試合はガチの練習同等、いやそれ以上に重要です。ガチ試合をしなくては、自分が「今もっとも身につけるべき技術」もわかりません。

 

これを機に、今一度、「部内ランキング」と「部内戦」というシステムについて考えてみてください。

 

システムを変えることでチームを底上げできる可能性は十分にあります。