元某大学テニス部コーチブログ

学生テニスプレーヤーへ

試合中に嘆いても何ひとついいことはない。試合中の表情は意識的につくれ。

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錦織選手の試合を観ていてよく思うことがあります。

 

他のトップ選手と比較して、嘆いている回数が多い。嘆いている時間が長いと言った方が正しいかもしれません。そして、ガッツポーズが小さい。

 

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もちろん程度の差はありますが、現世界トップ3である、ジョコビッチ選手、ナダル選手、フェデラー選手や次世代の将来トップに君臨するであろう若い選手たちは逆です。

 

自分に対して嘆いている時間が限りなくゼロに近く、重要なポイントでのガッツポーズはもはやひとつのパフォーマンスといっても良いほど大きなリアクションとなります。

 

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冷静であり、冷静であり、冷静である上に、超がつくほど情熱的。

 

これがトップ選手の共通点です。

 

もちろん、錦織選手は誰もが認めるトップ選手です。冷静で情熱的であることは間違いありません。

 

それでもファンは、ある意味無責任に、もっと上に君臨することを期待しています。きっと本人も、もっと上にいきたいと思っています。真のファンなら、その錦織選手の意思を尊重し、支援することを考えるでしょう。

 

ここで言いたいのは「錦織選手はダメだ」ということではありません。「さらに上を目指す錦織選手の課題のひとつはこれだ」ということです。

 

上との差を課題と捉えずして、自らが上になることはありえません。

 

錦織選手の場合、上との差は、技術の差よりメンタルの差の方が大きいことは明らかです。技術の差を縮めることを考えるより、メンタルの差を縮めることを考えた方が圧倒的に短期間で成果を出せる。

 

だからそれが最優先事項だと私は考えています。

 

なので、メンタルについて新たな気づきを与えてくれる新しいコーチや精神科医などの力を借りるという手段を考えるべきとも考えています。

 

一瞬の隙(すき)が命取りになる世界であることを理解する

 

さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。今回はこの、試合中の嘆きについて書きたいと思います。

 

まず、断言します。試合中に嘆くメリットはありません。

 

試合中に嘆くことのメリット、その時間が長い方が良いということを論理的に、あるいは科学的に説明できる人がいれば話を聞きたい。いればご連絡ください。

 

試合では、選手は勝つために、すべての力を出し切っています。限界、または限界を超えたところで戦っています。相手も同じです。

 

その2人の力がほぼ同じで競り合っている状態について考えてみてください。

 

綱引きをイメージするとわかりやすいと思います。綱引きは、スタート位置から2m自陣側に綱を引っぱったら勝ちが決まります。

 

綱を引くふたつの力が同じであれば綱の動きは止まります。逆に、その力にほんの少しでも差が生じれば、決着に向けて動き始めます。

 

テニスの3セットマッチでタイブレークが3セット続くような状況とは、綱引きで例えるなら綱の動きが止まった状態が続いているのと同じです。

 

さらに、タイブレークとは、綱引きでいうと勝敗が決まる距離を2mではなく20cmに変えているのと同じです。

 

つまり、少しでも「隙」をみせた瞬間、勝負が決まるという状況です。

 

これは、トッププロも、大学のリーグを戦う選手も、高校生選手も中学生選手も小学生選手も、さらには、趣味の延長で草トーナメントに出る週末プレーヤーにとっても同じ、原理原則です。

 

そして私は、試合中の嘆きは、その「隙」以外の何ものでもないと確信しています。少なくともプラスには働かない。

 

嘆きを撲滅する「自分ルール」

 

とはいえ、トッププロも人間です。想定していなかったミスの直後は嘆きの表情が出ます。

 

しかし、違うのはその長さです。

 

嘆きの表情が出た直後、それこそ3秒後にはその結果を受けとめキリッと前を向き、次のポイントのことを考えています。

 

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その結果を「流す」というよりは、変えられない事実として「受けとめる」といった方が正しいでしょう。過去は変えられないので未来のことを考えるということです。

 

しかし、頭ではわかっていてもできないという選手は少なくありません。性格の問題だと考えてしまう選手も多いのが現実です。

 

そういう選手にトライしてもらいたいのが「自分ルール」の導入です。

 

感情や理屈は抜きにして、次の自分ルールをマインドセットします。

 

「試合中は嘆きの表情を厳禁とする」

 

もちろん、いつも試合前に目を通すテニスノートにも明文化しておきます。

 

これだけで、冒頭に示した「冷静に」を実行できるようになります。

 

さらには、次のルールを導入すれば「情熱的に」を実行することさえできます。

 

「30-30、40-40、ゲームポイント、ブレイクポイント、長いラリーのポイント奪取時は必ず「カモンッ!」と叫んでガッツポーズする」

 

あるいは、ガッツポーズは練習してできるようになるものと理解し、練習してください。できるだけ大きく、情熱的なガッツポーズを。

 

是非、次の試合で試してみてください。必ずあなたのパフォーマンスは向上します。