元某大学テニス部コーチブログ

学生テニスプレーヤーへ

庭球部のリーグ目標は「昇格」以外ない。部員はそれを望み、何より自分のためにやり切れ。

関東の大学の庭球部はリーグが終わり、ようやく肩の荷がおりた選手たちはオフを満喫しているかもしれません。

 

あるいは、もう来年に向けて動き出しているという選手もいるでしょう。

 

そして、この時期に特に慌ただしくなるのが新幹部ではないでしょうか。

 

来年度に向けて、これからは自分たちが、あの尊敬する先輩たちのように部を仕切り、牽引していかなくてはいけません。

 

やるしかないので覚悟はできていると思います。しかしまだ、具体的にどうすればいいかイメージが湧いていないという幹部もいるかもしれません。

 

今回は、その幹部の核となる考え方、2つの基本について書きたいと思います。

 

これは、社会に出てからの組織運営にも活かせる話です。社会に出るとこの基本ができてない間違った組織の方が多いということに気づきます。この基本ができている組織のみが勝ち残っていくということにも気づきます。

 

この時期にこの基本を実践から学び、社会に出てからはその間違った組織を正していくような、そんな若者が増えることを心から願っています。

 

基本1:目標を決め意識を合わせる

 

組織活動においてチームの目標は重要である。

 

そう聞いて、反論する人は少ないと思います。

 

目的意識や目指すゴールが明確になっており、みんなが同じくそれを望んでいるチームは当然一丸となって前に突き進んでいきます。

 

そのためには、みんなが目標を腹落ちできていなくてはいけません。

 

「いやそれ無理だよ」

 

ひとりでもそう考えていたらいけないのです。

 

あるいは、例えば昇格(1部リーグの場合は優勝、さらには王座)を目標に掲げる理由が、

 

「毎年そうだから」

 

「OB/OGのプレッシャーもあるし、そういうものだから」

 

ではいけません。

 

「自分たちが何が何でも昇格したいから」

 

「成し遂げたいから」

 

でないといけません。

 

目標を決めるのはそれほど難しいことではありません。幹部で話し合い、トップダウンで、例えば「昇格」と決めればいい。

 

しかし、問題はこの次です。重要なことはわかってはいるけど難しいのが「みんなの意識をどう合わせるか」です。

 

部員個々人の昇格へのモチベーションをある一定値以上に引き上げる必要があります。

 

「来年は厳しい」そう思考することに価値がない

 

例えばよくある事例が、来年の目標を「昇格」とするが「今年のメンバーの実力を見る限り、昇格は普通に考えて厳しい」と思われる場合です。

 

これを解決する手段は「幹部の姿勢」と「ミーティング」です。

 

幹部の姿勢とは、幹部がそれに対して本気になっている姿を一年を通して見せ続けるということです。

 

これは意識の低いメンバーに対する当たりを強くするということではありません。

 

意識を高く持てている個々人が自分に対して厳しくしている姿を見せるということです。

 

次にミーティングです。少し難しさを感じるのはこちらの方かもしれません。

 

例えば、責任感の高まっている主将のみが昇格を目標に掲げようとしている場合、まずは幹部に、次に幹部以外のメンバーに「なぜ昇格が目標なのか」「その理由」を説明しなくてはいけないということです。

 

そこで、以下を説明します。

 

目標はみんなの成長を早めるためにある

 

リーグ生活を通して、すべての部員が共通して求めていることは「選手としての成長」です。それは、「人としての成長」ともいえます。

 

思い出づくりが目的という部員がいたならば、その人は選択を間違っています。サークルに入り直した方がいい。

 

あるいは、就活で有利になることが目的という部員がいたならば、それはつまり、人として大きく成長することと等しいはずです。

 

もちろんその他にも色々な目的を持っているかもしれません。それでも、みんなに共通する目的は「自分の成長」です。

 

そして、それに応えるのが主将と幹部の使命です。部員たちの成長率を最大限に高めることが主将と幹部の使命と言って間違いありません。

 

だから目標は、無理と思われる範囲に定めるべきなのです。

 

もちろん、目標は達成するためにあるものです。

 

だから、どれだけ厳しいと思われようが、達成するためにどうすればいいかを考え、選択し、行動するのです。

 

これが成長率を最大化する唯一の手段なのです。

 

そもそも、成長しようとしている集団なので、できない可能性を考えること自体がナンセンスなのです。

 

「どうしたら今の自分たちが昇格できるほどに成長できるか」

 

それを諦めることなく考え抜き、自分たちのできることはすべてやり抜く。

 

それが大学におけるリーグ生活のあるべき姿だと、私は考えています。

 

すべての大学に昇格できる1%以上の可能性がある

 

それから、これは私がこれまでの経験で感じていることですが、何年も昇格できない大学は諦めているからです。

 

すべての大学が持っている1%以上の可能性を本気で追い求めることをやめているからです。

 

この、ほんのわずかかもしれない可能性を、最後の最後まで、本気で追い求めている大学が、結果を残しています。

 

それは間違いありません。

 

5戦ある内の4戦に負け昇格できないことが確定しても、残りの1戦と入れ替え戦は来年の昇格のために、最後まで諦めずに持っているすべての力を出し切る。

 

数年で昇格する大学は、それをしています。

 

これらの話を部員たちに伝え、必要に応じてディスカッションすることで、部員たちの意識はひとつにすることはできます。

 

あるいは、このブログ記事をミーティングで読み合わせるというのもいいかもしれません。是非、活用してください。

 

基本2:すべての決断はゴールへの最短距離を選択する

 

幹部はこれから一年間、いたるところで難しい選択を迫られます。ひとつひとつの決断が昇格までの距離を変えます。

 

その時の判断基準をブラしてはいけません。

 

「昇格に近いのはどっちの道か」

 

これが判断基準でなくてはいけません。

 

目標を昇格と定め、部員との意識合わせができたら、次に幹部がしなくてはいけないことが、一年を通して、すべての選択をこの昇格のための最短距離になるか否かで決断します。

 

それも、自分たちの頭で十分に考えた結果としての決断です。

 

例えばよくある間違いは、冒頭にも書いた以下です。

 

「毎年こうしてきてるから」

 

「OB/OGに説明がつかないから」

 

あるいは、判断基準が「情」であってはいけません。

 

「先輩は最後の年だから試合に出てもらおう」

 

これらは間違った判断です。

 

本当にそれが昇格の最短距離なのか?と常に疑い、どんどん変えていかなくてはいけないのです。

 

これは、ものによっては「やってみなくてはわからない」というケースもあります。

 

それでも、例え根拠がなくても、勘でも、責任感を強く抱いた幹部たちが塾考した結果、「やっぱこっちの方が昇格への近道だと思う」という結論は、正しかったと言える結果につながりやすい。

 

なぜなら、行動がともなうからです。自分たちで変えたから尚更、やり切れるのです。

 

さらにいうと、失敗してもいい。すぐに軌道修正すればいいのです。

 

幹部の基本その2は、「昇格への近道を選択しろ。そのためには、これまでの常識を疑い、変えることを恐れるな」ということです。

 

最後に念のため、誤解のないように補足します。「近道」という言葉は「楽な道」という意味ではありません。

 

さあ、

 

来年も、やってやりましょう!

 

来年こそは、やってやりましょう!