オムニコートとハードコートそれぞれに適した戦術と強化すべきショット
今回は、テニスコートのサーフェスに関連する話をしたいと思います。大学のリーグは、各校のコートで、ホームかアウェイで対戦します。コート事情はやはり市民コート同様、その多くがオムニコート、次に多いのがハードコートというのが現状です。もちろんクレーコートの大学もありますが、メンテナンスの手間や水はけといった観点で劣るため今もなお減っています。
今回は、オムニコートとハードコートを例にあげつつ、それぞれのサーフェスでの戦い方について考えていきたいと思います。
大学のリーグの場合、部の昇格や降格により戦う相手校が変わると、自ずとコートサーフェスも変わります。これまではほぼすべてオムニコートだった試合が、部が変わり自校以外がすべてハードコートのためにハードコートで戦うことの方が多くなるというケースも考えられます。
そういった場合はなおさら今後の戦い方を変える可能性についても考えなくてはいけません。
まずは、コートサーフェスの違いを知る必要があります。簡単にまとめると次のようになります。
オムニコートの特徴
- 球足が遅い
- バウンドがやや低い
- 足元が滑る
- 体への負担は低い
ハードコートの特徴
- 球足が速い
- バウンドが高い
- 足元がほぼ滑らない
- 体への負荷が高い
これらの違いがわかれば自ずとどんな選手が有利か、どんなショットが有効かも見えてきます。
オムニコートに有利な選手
長い打ち合いを得意とするプレイヤー
- ストロークが深く安定している
- フットワークがよく守備範囲が広い
- 持久力がある
ハードコートに有利な選手
攻撃的なプレイヤー
- コース・パワーともにサーブ力がある
- 攻撃的なストロークで自ら攻められる
- 特に下半身が強い
戦術と強化すべきショット
さて、ここからは、長い打ち合いを得意とするプレイヤーで、この先1年ハードコートでの試合が増えることがわかっているというシチュエーションを例に話したいと思います。
この場合、今後どんな戦術を選択し、どのショットを強化していくとよいでしょうか?攻撃的なプレイヤー同様の戦術を取り、例えば、ビッグサーバーに生まれ変わることを目指した方がいいのでしょうか?
直感的にそれは間違うとわかると思います。
ここで大切にしたいのが「自分の持ち味」「自分のこだわり」「自分が大切にしてきたこと」です。長い打ち合いを得意とするプレイヤーであれば、例えば「深く安定したストローク」であったり「鉄壁のリターン」などです。
次のハードコートでの試合の相手がビッグサーバーだとします。相手は「ハードコートではサーブか次の3球目でポイントを取れる」と考えていたところ、リターンが確実に返ってくる、さらに3球目に攻めたボールも拾われるという状況をつくられたとしたら、とても大きなプレッシャーを感じます。こちらが優位に試合を進められる可能性が高まります。
つまり、何よりもまず、自分の持ち味、自分の武器を最大限活かせる戦術を選択し、たとえハードコートを得意とする選手が相手だとしても、自分の武器のパフォーマンスを最大限発揮できるよう仕上げていくことが重要です。
ハードコートだからサービス強化!攻撃的なストローク強化!という課題を最注力すべきかは冷静に考えたいです。例えば、サーブはあくまでもサブ課題と位置付け、最低限リターンで攻め込まれないようにする、という方針をとった方がいいケースは少なくありません。
一方、まだ経験の浅い選手で、サーブもストロークもそれほど大差なく、どちらもまだまだ伸びしろがある場合はそれとは異なる方針を取ります。もちろん、体格や性格などから向き不向きは考えますが、こういった選手の場合は、短期的な勝利を最優先し、ハードコートに有利な選手を目指すという判断を取りやすくなります。
まず、サーブ。次にブロックリターン。次に攻撃的なストロークです。
ブロックリターンが2番目の理由は、テニスはファーストショットであるサーブとリターンの強さとその確率で勝率は大きく変わるためです。
戦術具体化の第一歩
最後に、戦術についてもう少し掘り下げたいと思います。ここでいう戦術は「次の1ポイントをどうやってとるか」です。以前、ポイント間はこの戦術を具体化することだけを考えるという話をしましたが、この話はそのヒントです。
その戦術を具体化する際、最低限決めておきくべきポイントが「長期戦に持ち込むか、短期戦で決めにいくか」です。要は、じっくりラリーをする中でチャンスを伺うのか、ファーストショットまたはセカンドショットで自分から仕掛けていくのかというイメージです。それを決めたら次に、相手のプレーを想定しつつ、ラリーの前半で自分はどのコースにどんなショットを打つかを具体化します。
ハードコートでは自ずと短期戦が多くなります。オムニコートはその逆です。ただし、考える起点はやはりコートサーフェスではありません。今このタイミングで相手が嫌がる戦術が何か、それが短期戦か長期戦かです。ポイント間に戦術を決めるトレーニングも意識的に行っていきましょう。
戦術と強化すべきショットはコートサーフェスでは決まらない!