元某大学テニス部コーチブログ

学生テニスプレーヤーへ

野心家のみが真に強い選手になれる。その野心は没頭と苦悩の先にある。

前回の記事では、「没頭は「しろ」と言われてできるものではない。いや、それでもできるようになる。」と書きました。

 

大学のリーグ選手の場合、この「テニスに没頭する」というステップはとっくにクリアしているという選手も多いと思います。

 

私がコーチを務める大学にもテニスに没頭する選手はいます。

 

今回は、さらにその後、結果を出せる真に強い選手になるまでのステップについて考えてみます。

 

今、自分がどのステップにいるのかを把握することは、明日から自分が何をすればいいのかを明確にするヒントにもなるのでとても重要です。

 

これを機に、自分の日々のアクションや考え方を最適化するヒントにしてください。

 

野心が育つまでのステップ

 

まずはじめに、大学のリーグ選手が結果を出せる真に強い選手に生まれ変わるために不可欠な「野心」が育つまでのステップについて考えてみます。

 

私がこれまでのコーチ経験から考える、選手に野心が芽生えるまでのステップは以下です。

 

好奇心→チャレンジ→成功体験/勝利体験→欲→没頭→夢/大きな欲→没頭2→苦悩→覚悟→野心

 

没頭できるほどのめり込んでいる段階にくると夢やより大きな欲を持つようになります。

 

それは、大学のリーグ選手であれば、例えば、

 

「一年後にレギュラーになってリーグ本番で勝ち星を挙げチームの勝利に貢献できる選手になりたい」

 

です。また、ジュニア選手の場合は、

 

ウィンブルドンで優勝したい」

 

です。この段階ではまだ「なれたらいいな」というニュアンスが多分に含まれています。

 

大きな欲や夢を持つことは誰にでもできるある意味簡単なことです。しかし、重要なのはここからです。

 

必ず壁にぶち当たります。そして気づかされます。

 

「くそぅ。なかなか上達しない…」

 

「強くなるのってこんなに時間かかるのか?」

 

「あぁ、この目標、相当やらなきゃ達成できないんだ」

 

この現実を知り、苦悩がはじまります。

 

そして、「相当やる」という覚悟を決められた選手のみが「野心」を手に入れることができます。

 

さらに、結果を出せる真に強い選手になるまでのステップ

 

野心が芽生えれば自ずと練習量のノルマを設定するようになり、迷わず没頭しながらそれをこなしていけるようになります。

 

さらに、結果を出せる真に強い選手になるまでのステップは以下です。

 

好奇心→チャレンジ→成功体験/勝利体験→欲→没頭→夢/大きな欲→没頭2→苦悩→覚悟→野心→没頭3→目標の設定と達成の繰り返し→没頭4→没頭5→没頭6→結果を出せる真に強い選手

 

野心が芽生えた後のステップで必要となるのが、適切な目標の設定と達成の繰り返しです。

 

確実に階段を上がっていけているという成長実感が成長スピードを加速させます。

 

目標とは例えば、

 

「このサーブが打てるようになる」

 

というものから、

 

「この大会で優勝する」

 

というものまで、真に強い選手になるために必要な技術の習得や身の丈にあったさまざまな大会での勝利といった目標を設定してはクリアしていきます。

 

さらに、いつまでに習得するというように時間軸を意識できるとなお良いでしょう。

 

そのことにとことん没頭した人が、結果を出せる真に強い選手になります。

 

もちろん、自分自身が成長していたとしても、同世代の他の選手との差があまりにもかけ離れていると「自分には可能性がないのではないか?」と自分を疑ってしまうこともあります。

 

しかし、その心配はいりません。早咲きタイプもいれば遅咲きタイプもいます。

 

以前の記事「圧倒的な成長をもたらす昨日の限界を超える習慣」にも書いたように、20代中頃までの選手はやればやっただけ伸びます。

 

急成長もできます。ひとつの意識改革や技術習得をキッカケに一気にみんなを抜き去ることさえあります。

 

自分を信じてやり切りましょう。

 

覚悟を決める。それが野心の芽!

 

 

苦悩を乗り越えた息子のはなし

 

ここからは余談です。

 

ウィンブルドン優勝を夢見る今小学2年生の私の息子は、すこし前に苦悩を乗り越えました。

 

オレンジボールのトーナメントで3回優勝した後、グリーンボールのトーナメントに出て悔しい思いを何度もしたのです。

 

辛い現実を思い知らされたと思いますが、今は前を向いています。

 

この時息子はひとつの決断をしました。今一度、勝利体験をコーディネートすることを選んだのです。

 

つまり、オレンジボールのトーナメントに再度出ることを決めたのです。私もそれに賛成しました。

 

これは、ある意味「後退」です。

 

しかし、指導者としてここは我慢です。

 

上には上がいる。グリーンボールの選手たちは自分より強い。それを経験した上で、それに勝てるようになることを目的にあえて、オレンジボールのトーナメントで勝ちながら、課題を克服していくことに決めたのです。

 

少しづつ、しかし確実に階段を登る道を選んだのです。

 

これと同時に、今息子は、覚悟を決めつつあります。野心が芽生えはじめています。このステップを選ぶことで、覚悟を決め、真の野心をもつようになると、私は信じています。

 

コーチの仕事の7割は野心を育てること

 

「お前には強い気持ち(≒野心)が足りない」

 

私は息子にそれを伝えた時、細心の注意をはらい次の表現をしました。

 

「お前には強い気持ちがある。

 

それでも、グリーンボールの試合に出てくる選手達に勝てるようになるためには(手で目の高さを示しながら)これくらい強い気持ちが必要だ。

 

だけど今のお前の強い気持ちは(手で胸の高さを示しながら)これくらいだ。

 

それでも、この気持ちは育てて大きくすることができる。

 

オレンジボールの試合に出ながら、パパと一緒に強い気持ちをさらに育てていこう」

 

コーチとしての今の私の仕事は、大学の部員達にしても息子にしても、選手ひとりひとりにこの野心を芽生えさせるまでの支援です。

 

私は、野心が芽生えた後のコーチングよりも、野心を芽生えさせるまでのコーチングを得意としています。

 

そのため、技術のコーチングは3割程度です。つまり、7割がメンタルのコーチング。

 

私は、コーチの仕事はそうあるべきと思っています。それほどメンタルのコーチングは重要です。

 

なぜなら、例えば、その選手が事故などでテニスを失うことになったとしても、それにより生きていくことのできる力が育つと信じているからです。

 

本気で、勝つためにテニスを追求する人を私は応援しています。そして、私が関わった選手みんなの人生が幸せなものになることを心から願っています。