没頭は「しろ」と言われてできるものではない。いや、それでもできるようになる。
このブログでも再三伝えていることのひとつに「没頭せよ」があります。没頭こそが唯一、人を大きく成長させる手段だと。
以前の記事「圧倒的な成長をもたらす昨日の限界を超える習慣」でも書いた通りです。
没頭する対象はテニスでも何でもいい。何かに没頭すれば、必ず人として大きく成長できる。
これはもしかしたら男性的な思考なのかもしれません。それでも私は、これは男性女性関係なく、誰にでも当てはまる原理原則だと考えています。
さて、少し前に大学テニス部の一年生を集めてオリエンテーションを開催しました。
これは毎年実施しているもので、これから数年つづくリーグ生活がどのようなもので、リーグ生活を通して自分たちは何を得られるのか、何を得たいのか。引退直前に自分はどんな姿に成長していたいのか、一年後にはどうなっていたいのか。それを想像し、明文化する会です。
昨年は大学の教室を借りて講義形式で実施しましたが、今年はより対話を重視したいと考えファーストフード店でフランクに実施しました。
そこでも「没頭せよ」という話をしました。その会ではいつも熱弁してしまいます。
没頭ってやろうと思ってできることではないですよね?
その時、学生からハッとさせられる質問を受けました。それがこの「没頭ってやろうと思ってできることではないですよね?どうすればいいですか?」です。
確かに。意図的にするというよりも、いつの間にかしているのが没頭です。
その時の私の回答は以下でした。
「まず、欲を持っていることが不可欠ですね。例えば、
- テニスが大好きすぎてとにかくテニスをしたい!
- 試合で勝ちたい!
- 何がなんでもレギュラーになりたい!
そういった気持ちの強さがとても重要です。
だから、日々、自分を洗脳した方がいい。
- 自分はテニスが大好きだ!
- 自分はどんな試合でも勝ちたくてしょうがない!
- 自分はレギュラーになりたくてしょうがない!
そうやって自分を信じ込ませて、ある意味自分を騙して、欲を育てよう」
後になってこのことについてより深く考えたのですが、この回答だけでは不十分でした。
没頭するようになるまでのステップ
この質問を受けた時、逆に私が気づかされたことがありました。
それは、私が「没頭せよ」と言う時は、その人が没頭できることが前提になっていたということです。
すでに欲を持っている人が前提。
もともとテニスに没頭できる人に「もっと没頭する時間を作って大丈夫。迷わず没頭しよう!」そう言っているに過ぎませんでした。
つまり、その一年生はその前のステージにいたということです。
例えば、テニスに出会ったばかりの子供が没頭するまでのステップは以下です。
好奇心→チャレンジ→成功体験→没頭
子供の場合、好奇心が強いので小さな成功体験を作ってあげればすぐに没頭するようになります。
それは、
「ボールがラケットにあたったね!」
というレベルで十分です。
しかし、例えば、大学のリーグで活躍するためにテニスをしようと考えた青年の場合、このステップは少し変わります。
好奇心→チャレンジ→勝利体験→欲→没頭
没頭の前に「欲」が育つ必要があります。そしてその欲を育てるために必要なことが子供同様「成功体験」ですが、大学のリーグを戦うテニス部員の場合、その成功体験はすなわち「勝利体験」と言えます。
質問のあった彼には自分を洗脳してでも欲を育てるように伝えましたが、それはどちらかというとサブアクション。メインアクションとしては勝利体験の繰り返しを自分でコーディネートする事が必要です。
彼にはそれを伝えるべきでした。もちろん後日伝えましたが。
例えば、自分より少し低いレベルの相手を意図的に選定して部内戦を行ったり、草トーナメントに出るなどです。
これについては以前の記事「「勝つイメージ」を持てていない選手はまず勝つ経験をつくるべき」に書いていますのでそちらも参考にしてみてください。
没頭できるように欲を育てろ!そのために、勝利体験を自らコーディネートしろ!